都会と田舎の僧侶の違いは!?田舎に住む現役僧侶が解説!

一概に僧侶といっても、住む地域によって僧侶としての日常は大きく変わってきます。

都会と聞けば忙しいイメージを持ち、田舎だとゆったりしたスローライフをしている僧侶を想像するでしょう。

都会のお寺は、初詣や節分等で大いににぎわう光景がテレビなどでよく見受けられますし、そもそも人口が圧倒的に違います。

ですので、都会のお坊さんの方が何かと大変そうと思われるのもむりはありません。

ですが、実は田舎の僧侶も日々忙しく法務に追われているのです。

僧侶において都会と田舎の違いはいったいなんなのか?
田舎に住む僧侶の目線で解説していきます。

都会と田舎で僧侶の日常はかわる?

最初に結論から言いますと、都会と田舎の僧侶の日常は大きくことなります。

都会は人口が多く、人口が多いということは参拝者の数も多くなりますし、檀家の数も比例して多くなります。

ですので、法事や葬儀など行っている法務内容に違いはありませんが、その件数は都会がどうしても多くなるのは必然でしょう。

また、ある程度知名度があれば参拝に来る人々の対応や祈願や滅罪の法要で大忙しだと思います。


一方、田舎のお寺は、地域の人口が都会と比べて少ないので同じ法務内容を行っていても、件数が違うため忙しさは比べるまでもありません。

これでは、田舎の僧侶は暇を持て余すぐうたらな僧侶と思われてしまいそうですので、田舎ならではの僧侶の法務を紹介していきます。

田舎ならではのお坊さんの仕事とは?

前述で述べたとおり、田舎の人口が都会に比べ少ないため、法事や葬儀の件数は全体的にみて少ないと言えるでしょう。

そうなってくると疑問に思うのが、田舎の僧侶は暇なのでは?空き時間に何をしているの?ということがあがると思います。

ですが実際は、田舎のお寺はまったく暇ではありません。

私は、新潟在住の僧侶ですが、新潟では「月参り」というお参りを毎日行っているのです。

月参りとは、檀家や信徒のお宅に伺い仏壇の前でお経を読むことで、祥月命日だけでなく、例えば7月10日が命日なら毎月10日ごとにお宅へ伺い、年12回お参りすることを月参りといいます。
知り合いのお寺さんの話によると、北海道や長野でも月参りの風習があるそうですが、いわゆる都会では月参りは行っていないと聞きます。

ですので、勘のいい方は気づいたかもしれませんが、月のうち1日~31日まで満遍なく月参りの予定が入れば、僧侶も休む日がなくなるわけです。

それに加えて、法事や葬儀が入ってくるため、意外と田舎のお寺も忙しい日々を送っているのです。

また、境内の掃除においても山を背負ったお寺が多く、落ち葉の掃き掃除をするのも一苦労です。

このように、あまり知られてはいませんが、田舎は田舎なりに多忙な毎日を過ごしているのです。

都会のお寺の特徴

私は、今は新潟で僧侶をしていますが、五年前までは東京の大きな祈祷寺にサラリーマン僧侶として勤めていました。

そこで働いていた経験をもとに都会のお寺の特徴を紹介していきます。

  • 参拝者が田舎と段違いで多い
  • 檀家のご自宅に伺うのは法事・盆参りくらいで檀家との関係が浅い
  • 大きなお寺では行事の際、芸能人を呼んで盛大に行う
  • 月参りがない

私が勤めていて田舎と違うと感じた大きな点はこのようなことがあがりますが、細かく言えば他にもありますが、参拝者が多いからこそ潤沢な資金をもって盛大な行事ができると感じました。

それとやはり、田舎と違い月参りがなく、年間を通して檀家と直接かかわる機会が少ない印象を受け、少し寂しく感じた覚えがあります。

ですが、そこは逆に都会の強みを生かし、定期的に法話会や写経会、勉強会を開催して多くの人が集まっています。

人口や交通の便がいい都会だからこそ年齢にかかわらず、多くの方が参加できているのでしょう。

まとめ

都会と田舎を比べてどちらの方が忙しいと言われれば、それはお寺の規模や従業員の数などの様々な要因によって異なるので一概にどちらかはわかりません。

ですが、都会には人口の多さや交通の便がいいことから人が集まりやすいというメリットがあるように、田舎にも檀家との関係が深く、直接相談や説法をする機会があるというメリットがあります。

違いはありますが、僧侶として地域のみなさんのお役に立つことが両方の目指すところであり、檀家や信徒の心のよりどころとなる場所にすることがお寺の務めだと思っております。

この記事を読んで、田舎の僧侶の印象が少しは変わったのではないでしょうか?

正直に申しますと私自身、半休はありますが一年で完全に休みの日というのはありません。
月参りを休むわけにはいきませんし、葬儀は急に入るものです。

日々修行という言葉で片づけたらそれまでですが、田舎の僧侶も日々一生懸命頑張っていることを知っていただければ幸いです。

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