お坊さんはお経を読んでいる時に何を考えている?現役僧侶が解説!

葬儀のときや法事の際、お坊さんが長いお経を読みお祈りする姿というのは誰しもが想像できるでしょう。

その際、お坊さんを見ると経典を見ながらお唱えしているお坊さんもいれば、目をつむり暗唱しているお坊さんも見たことがあるかもしれません。

お坊さんは、目を閉じていったい何を考えてお経を唱えているのか疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

  • 自然にふるまっていても頭の中は、必死に長いお経を思い出しながら唱えている
  • 頭の中で拍を取って、一定のリズムで唱えるよう頭を使っている
  • 全然関係のない邪なことを考えている

これらが私が僧侶になる前に考えていたことです。

では、実際のところはどうなのでしょう?
真言宗の僧侶である私がつっこんで解説します。

宗派によって違いがある

もしかしたら、お経中の僧侶の頭の中など考えたこともない方が大半かもしれません。

しかし、もし亡くなった故人やご先祖さまにあげるお経を読んでいる最中に、お坊さんが晩御飯のおかずのことを考えていたら嫌ですよね。

やはり、一般的な考えとしては至心に亡くなった故人やご先祖さまをしのび、至心にお経を唱えてもらいたいことと思います。

では、実際のところお坊さんの頭の中は何を考えているのでしょうか?

結論は、宗派によってことなります。

例えば、禅宗の知り合いの僧侶に聞いたところ、禅宗では頭の中に何も考えず、心を無にしてお経をお唱えするそうです。

他にも、浄土系の僧侶の知り合いに聞いたことがあります。
浄土系の僧侶は、本尊の阿弥陀如来さまを信仰する宗派であるから、お経をお唱えするときも阿弥陀如来さまへ届くよう至心に心を祈っているそうです。

このように、けっして邪なことを考えているのではなく、宗派それぞれの教えに則って頭を使っているのです。

真言宗は、お経中に様々なイメージをしている(邪なことではありません)

宗派によって頭で考えていることが違うと説明しましたが、私が属している真言宗はどのようなことを頭で考えているのでしょう?

実は、真言宗の僧侶はお経中に様々な印を手で結んだり、後ろから見ると分かりづらいかもしれませんが、ごそごそとお経を唱えつつ何かをしています。
これは、真言宗の教えで僧侶自身が仏そのものと自覚し、仏のつもりで印を結び、お経を唱えて故人を導いているのです。

そして、もちろん頭の中は仏そのもののイメージであるから、邪なことを考えているわけがありません。

また、お経によってイメージする内容も変わります。
掻い摘んで例をあげると、光明真言というお経がありますが、これは手のひらから光が出るようなイメージを頭の中でイメージしお唱えします。

このように真言宗では、イメージをとても重んじていることが分かると思います。

ちなみに、お経以外でも「阿字観(あじかん)」といって瞑想をするのですが、心を落ち着かせた後、心の中で仏を感じ、それを自分を中心に世界中へと円形状に広げていくイメージで瞑想します。

このことからも、真言宗はイメージを重んじ、禅宗の心を無にするということと真逆の教えであることが分かります。

経典を必死に見ながら読んでいる場合は?

基本的には上記でお伝えした通り、宗派によって頭の中で考えていることはことなってきます。

ですが、冒頭でもふれたように経典を見ながらお唱えしている僧侶を見ることも多いでしょう。

正直なところ、般若心経や観音経ならまだしも、葬儀などでお唱えする長いお経の場合は、経典をしっかり見ながらお唱えする必要があります。

まず、大前提として仏さまの教えであるお経を間違ってお唱えすることがないよう、気をつけて僧侶はお経を唱えています。
お経を間違ってしまうことは、仏さまの教えを間違った言葉で説法していることと同じになってしまうからです。

ですので、若い僧侶の場合は特に、お経を間違えないように必死にお唱えしているということをご理解いただければ幸いであります。

しかし、長年お経をお唱えしていれば、長いお経でも暗唱しながらお唱え出来るようになるものです。

真言宗の場合、イメージも大切なお経の一部ですから、経験を積み重ねて目指すところは、お経を暗唱しながらイメージもできればなおよいでしょう。

まとめ

いかがだったでしょう。

一般の在家の方であれば、正直お坊さんの頭の中でこのようなことを考えていたと知り、驚いたのではないでしょうか?

私も僧侶となり、「実はこんなにお経中でも忙しいのか」と驚いた覚えがあります。

ですが、俗人の頃に私が考えていたような心配がないことと、お坊さんも一生懸命お経をお唱えしているのだと分かっていただけたと思います。

ご先祖さまや亡くなった故人を導くために、お坊さんは至心にお経をお唱えしています。

どうかみなさんも僧侶にならい、心をこめてお祈りをいたしましょう。

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