これから僧侶を目指す寺院の跡継ぎの方、お寺の娘さんと結婚し在家であったが本山へと修行に行き僧侶となる方がいると思います。
私の場合は前者で、寺院の長男として生まれ、お寺の跡継ぎとなるべく修行を本山で積み僧侶となりました。
正直なところ、私は僧侶となることに対し前向きに考えていませんでした。
というのも、それまで大学生で自由に暮らしていた生活から一変、頭をそり外界から切り離され、辛く苦しい修行に行かなければならないことへの不安や迷いがあったからです。
案の定、修行はとても大変で逃げ出したくなる気持ちを必死に堪えて日々をすごしていました。
ですが、ある気持ちの変化で辛いとしか考えていなかった日々が、向上心へと変化し、修行が終わり僧侶となるころには修行に来てよかったと思えるようになりました。
この記事では、これから僧侶を目指す方やその予定がある方へ向け、真言宗の修行を終えた僧侶としての修行へ向かう心構えを含めたアドバイスを紹介します。
修行へ行く前の心構え
僧侶を目指すうえで避けて通れないのが、各宗派で内容や期間はことなりますが外界と切り離された環境の中行う、昔の僧侶が行ってきたこととまったく変わらない修行をすることです。
修行は、宗派によって数か月~数年で、修行内容も過酷なものから気合があれば乗り越えられるものまで様々です。
ここで共通して言えることは、どの宗派の修行に行っても基本辛く苦しいということです。
そんな大変な修行に行くうえで必要になってくるのが心構えだと、私は実際に修行を体験して感じました。
心構え次第で、日々のお勤めに向かう気持ちも掃除に取り組む意気込みも大きく変わってきます。
その心構えとは、「やるのは決まり事項なのだから、どうせやるなら自身を高めよう」と、指示されて仕方なくやるのではなく、向上心を持って修行に取り組もうと思い至ったことでした。
この心構えを意識してからは、日々の辛さや苦しさというのは驚くほど変化し、むしろ楽しさすら感じるようになりました。
苦しい経験をした分、それが自分の技術力として身についていくというのは達成感があり、嬉しいものであります。
お寺を継ぐのであれば、いづれ修行に行かなくてはなりません。
緊張や不安に思う気持ちは私も経験したからわかりますが、どうせやるならこの心構えを持ち、自分を高める気持ちで修行に挑んではいかがでしょうか?
向上心を持ち、頑張った結果は必ずお寺に帰った後。檀家や信者さんのためになることでしょう。
寺院で育ち、跡取りとして修行に行く方へ
私は、こちらのパターンでした。
みなさんも、子供の頃より寺の行事や棚参り等でお寺にふれて育ち、まわりの檀家さんからは期待されてきたことと思います。
正直、私の場合はそれが重圧となり、僧侶になんて絶対ならないとさえ考えていました。
学校のクラスの中でお寺の行事の度に頭を剃り、クラスメイトにからかわれた経験からもそう思った要因となったのでしょう。
そして、現代社会において昔ながらの辛い修行を受けるため本山に行き、スマホやテレビも取り上げられて、友達や家族と会えない日々を送るというのはなかなか大変に感じることでしょう。
しかし、最初は様々な日常の変化に戸惑うでしょうが、上記の心構えを意識するだけでより良い修行となり、修行の日々が辛いとは感じなくなってきます。
やるのは決定事項です。
であるならば、ここはひとつ実際に変わった私の経験を信じて実践してみてください。
きっと辛い日々が少しづつ変わってくるはずです。
お寺の娘さんと結婚し、寺を継ぐために修行に行く方へ
このケースは意外と多いように感じます。
私の修行時代の同期が30人いるのですが、半数は在家で寺に婿として入った方がおりました。
昔は、寺に多くの小僧さんがおり、その中から優秀な人材だけ本山に修行に行かせてもらっていたようですが、現代は空き寺が増えそんな余裕すらありません。
お寺の娘と結婚し婿として跡継ぎになる場合、事前にそれを知ったうえで覚悟をもって結婚にい至っていることと思います。
ですので、寺で育った人間と比較すると覚悟や向上心が高い印象があります。
それでも辛いのが修行であります。
婿入りした寺のため、待ってくれている奥さんのために少しでも高みを目指し、修行に励んでいただきたいですね。
どうしてもくじけそうなときは、私の心構えを思い出してみてください。
きっと良い方向に変化があるでしょう。
まとめ
これから僧侶を目指すものにとって、不安はつきものであります。
- しっかり修行を終えることができるのか?
- 自分みたいな能力の低い人間に修行は耐えられないのでは?
- 修行に入ってからは、逃げ出したいと思ってしまう
これは、私が本山に行く前と修行中に思っていたことです。
そんな私でも、紹介した「心構え」を頼りになんとか免許皆伝することができました。
辛いことを歯を食いしばってやり遂げることが修行であります。
逃げ出したいときは、是非この心構えを意識して乗り越えていただければ幸いです。